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労働実務Q&Aこれで解決!

外国人技能実習制度の見直し

Q.

 外国人技能実習制度は、国際貢献のため、開発途上国の外国人を日本で一定期間(最長3年間)に限り受け入れ、職場の実地訓練を通じて技能を母国に移転する制度と承知しています。報道によると、技能実習生は、実習先企業の雇用管理のもとで日本の労働関係法令が適用されており、現在全国に23万人在留しているとのこと。国別では、中国人に代わってベトナム人が増加傾向にあるとか。その外国人技能実習制度が見直されるそうですね。

A.

 昨年(2016年)11月に「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)が成立し、今年(2017年)11月1日から施行されます。技能実習法は、現行の技能実習制度の枠組みを維持しつつ、管理体制を強化して制度の適正化を図るとともに、優良な監理団体等に対して制度の拡充を認めるものです。眼目となるのが、「外国人技能実習機構」の創設。また、法律の施行と同時に、「介護」職種が対象職種に追加されます。


◆技能実習制度の適正化

 第1、外国人技能実習機構の創設。新しい技能実習制度で注目されるのは、何といっても厚生労働省と法務省が所管する認可法人である「外国人技能実習機構」の創設です。これまでは民間機関である「公益財団法人国際研修協力機構(JITCO)」が、法的権限の裏づけがないままに、監理団体(第一次受け入れ機関)や実習実施機関(第二次受け入れ機関)を巡回訪間して助言、指導が行われてきました。
 今後は、外国人技能実習機構が技能実習計画の認定と実習実施機関の届出の受理等の業務を専門的に行うとともに、監理団体や実習実施機関に必要な報告を求め、実地に検査する権限等を付与されています。
 第2、監理団体は許可制、実習実施機関は届出制、事務を担当するのは外国人技能実習機構。従来の制度においては、技能実習生を受け入れる事業協同組合や商工会などの監理団体や、監理団体の傘下で技能実習を実施する企業等の実習実施機関の義務・責任が不明確であり、実習体制が不十分であるとの指摘がありました。
 新制度においては、実習体制の適正化を図るため、監理団体については許可制、実習実施機関は届出制とし、技能実習計画は個々の認定制としています。事務は新設される外国人技能実習機構が担います。
 第3、通報・申告窓回の整備、人権侵害行為等に対する罰則の整備。技能実習生に対する人権侵害行為として、旅券の取り上げや通信の禁止行為などが指摘されてきましたが、現行法では、刑法犯に該当するような悪質な事案を除き処罰する規定がありませんでした。
 そのため、新法により、通報・申告窓口を整備するとともに、人権侵害行為に対する禁止規定と罰則が設けられました。
 法に基づき設置され、実効性を担保された外国人技能実習機構には、「技能実習制度の司令塔」としての役割が期待されているのです。


◆技能実習制度の拡充

 現行制度に対しては、実習現場から、対象職種の拡大や受け入れ期間の延長など制度拡充への要望が寄せられていました。そこで、技能評価試験の合格率、法令違反の有無、指導・相談体制を基準とする監理団体、実習実施機関の優良認定制度が設けられます。優良な監理団体等に限定して、技能実習2号(2・3年目の技能実習)に続く技能実習3号の在留資格を認め、受け入れ期間が2年間延長されて、最長5年間に。また、技能実習生の受け入れ人数枠の拡大も。さらには、地域限定・企業独自の職種など、対象職種の拡大の可能性もあります。

◆介護職種の対象職種への追加

 現在は技能実習制度の対象となっていませんが、国内外で人材需要が見込まれる「介護」職種について具体的制度設計を進め、法施行に併せて、対象職種として追加される予定です。

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