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労働実務Q&Aこれで解決!

有期労働契約の不更新条項

Q.

 判例法理として確立している雇止め法理。すなわち、有期労働契約の使用者による更新拒否に対して、解雇権濫用法理を類推適用し、合理的理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合に、雇用関係終了の効果を否定する法理のこと。この法理は、2012年に、労働契約法19条に明文化されました。この意義をどう考えればよいでしょうか。また、使用者は、雇止め法理を回避するために、不更新(更新限度)条項で対応することが想定されます。その効力如何。

A.

 雇止め法理の明文化の意義は次のとおり。第1に、法の周知が図られることにより、多くの国民に有期労働者の保護が浸透。第2に、個別事案に対する判断である判例法理と異なり、制定法上のルールとして明定されたことは、雇用社会における現場の法的拘束力(実効性)が格段に高まります。第3に、議論があった契約更新という効果の明確化。労働者からの契約更新ないし契約締結の申込みを使用者が承諾したものとみなすという法律構成で、問題を解決しました。


◆労働契約法19条の特徴と不更新条項

 労働契約法19条の法的構造をみてみよう。
 まず〔要件〕。①有期契約が実質無期と異ならない状態で存在していた場合(1号)、または、雇用継続に合理的期待が認められる場合(2号)のいずれかに該当し、②労働者が契約期間満了までに更新の申込みをしたか、または、期間満了後に遅滞なく有期契約の締結の申込みをしたときに、③使用者による当該申込みの拒絶が、客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき。
 その〔効果〕。使用者は、これまでの有期契約と同一の条件で承諾したものとみなす。
 使用者は、雇止め法理を回避するため、最後の更新時に次回は更新しない旨の「不更新条項」や、あらかじめ更新回数の上限を設定する「更新上限条項」等の特約を締結することがあります。この場合、本条2号の「更新の合理的期待」は遮断されるか否かが問題となるのです。


◆不更新条項と雇用継続の合理的期待

 多くの裁判例がありますが、いくつかの場合分けをして検討してみましょう。
① 最初に有期労働契約を締結する時から更新限度が明示されている場合はどうか。さすがに、その限度を超える雇用継続への期待は否定されます。契約自由の原則の範疇内だから。ただし、その限度を超える雇用継続を期待させるような使用者側の言動があった場合は別。その言動を根拠に、雇用継続への期待が発生する。19条2号は、1号と異なり、反復更新を要件としていません。つまり、初回の不更新事例にも適用され得るのです。
② いったん雇用継続への合理的期待が生じていた状況において、使用者が一方的に不更新条項や更新上限条項を明示した場合はどうなるか。裁判例の多数は、雇用継続への合理的期待が遮断消滅したとはいえないと解しています。使用者が、就業規則変更によって、更新上限条項を追加した場合は、労働契約法10条の就業規則の合理的変更法理の適用問題となり、新設の就業規則の合理性が問われます。
③ 有期労働者が、更新に際して、不更新(更新上限)条項を提示され、労働者が受諾せずに更新合意が不成立となった場合はどうか。「雇止め」に該当すると評価できるか否かがポイント。労働者の更新への期待があり、労働者の不満の意思表示が認定される場合は、使用者による雇止めと構成することは十分可。雇止めの合理性・相当性が審査されることになります。
④ 雇用継続への合理的期待が生じていた有期労働者が、不更新(更新上限)条項を受諾した場合はどうでしょう。労働者が合意した以上、雇用継続への期待を放棄したものとして、更新の期待は消滅したものと捉えることもできます。しかし、その効力を認めるためには、合意成立の厳格な吟味が求められる。十分な説明と情報提供を行い、労働者が客観的に見てその自由意思に基づいて合意したものと認められることが必要です。

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