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労働実務Q&Aこれで解決!

ストレスチェック

Q.

 メンタルヘルス不調者や休職者、退職者が増えているようです。厚生労働省によると、平成26年度の精神障害による労災請求件数は、1456件。支給決定件数も497件で、いずれも過去最多の記録です。職場における精神障害の労災補償状況の推移を見ても、請求・認定件数ともに右肩上がりの傾向が続いています。行き詰まりを感じている企業も少なくないでしょう。このような実態を背景に、労働安全衛生法が改正され、新たにストレスチェック制度が創設されました。

A.

 従来のメンタルヘルス対策は、メンタルヘルス不調の早期発見と適切な対応の「二次予防」およびメンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰支援の「三次予防」の取り組みでした。今回の改正労働安全衛生法によるストレスチェック制度は、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することを主目的とした「一次予防」。今年(平成27年)の12月から、従業員50人以上の全事業場で、ストレスチェックの実施が義務づけられます。 


◆ストレスチェックの目的

 ストレスチェックとは、仕事によるストレスの程度を把握するための検査です。その目的は、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ一次予防。メンタルヘルス不調の未然防止には、次の2点を実現させることが必要です。
 1つは、定期的に労働者のストレスの状況を検査し、労働者本人にその結果を通知して自らストレスの状況に「気づき」を促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させること。
 2つめは、検査結果を事業場や部署ごとに集計・分析して職場でのストレス要因を評価し、職場の環境改善につなげること。


◆ストレスチェック制度の概要

 ストレスチェック制度には、3つのフェーズがあります。法律によると、第1と第2の段階が事業者の義務であり、第3が努力義務です。
 第1は、ストレスチェックの実施。まずは、衛生委員会等での調査審議を踏まえ、事業者が事業場におけるストレスチェック制度の実施方法等を規程として定める。つぎに、事業者は、労働者に対して医師等によるストレスチェックを行う。さらに、その結果を医師等から、直接本人に通知させます。
 第2は、面接指導の実施。ストレスチェックの結果の通知を受けた労働者のうち、高ストレス者として面接指導が必要とされた労働者から申出があったときは、医師による面接指導を行います。事業者は、面接指導の結果に基づき、医師の意見を聴いたうえで、必要があると認めるきは、作業の転換や労働時間の短縮等の就業上の措置を講じることとなります。
 第3は、集団分析の実施。部や課など、職場の一定規模の集団ごとのストレス状況を分析し、その結果を踏まえて、事業者は、さらなる職場環境の改善に努めることになります。


◆ストレスチェックと定期健康診断の異同

 年に1度の実施が義務づけられていることと、費用が全額会社負担であることは共通しています。ただし、次の4点が異なっています。
 その1は、位置づけ。定期健診は、早期発見、早期治療の二次予防が目的。これに対し、ストレスチェックは、それ以前の段階で、メンタルヘルス不調に陥るのを防止する一次予防を主眼にしています。
 その2は、実施者。定期健診の実施者は、あくまで医師に限定。ストレスチェックは、医師のほか、保健師や一定の要件を満たした看護師もしくは精神保健福祉士も行えます。
 その3は、労働者の受診(受検)義務の有無。定期健診は、事業者の実施も義務ですし、労働者の受診も義務。ストレスチェックは、事業者の実施は義務ですが、労働者の受検は、義務ではありません。この違いは重要です。
 その4は、事業者への結果通知。定期健診は、法定項目に関しては当然通知。これに対し、ストレスチェックは個別結果に関しては労働者の同意が必要です。これも要注意。

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