HOME >これで解決!労働実務Q&A>パート・派遣・女性>偽装請負 サイトマップ
労働実務Q&Aこれで解決!

偽装請負

Q.

注文先企業と請負契約を締結し、先方の工場内で当社の社員を働かせています。先月その者が労災事故を起こし、1ヵ月間休業。その件で労働基準監督署が臨検に入り、書類上は請負契約となっているが、労働者派遣の疑いがあるので、実態に合った適正な措置を講じるよう、是正指導を受けました。請負と労働者派遣の区分はどう考えればよいでしょうか。

A.

形式的には請負契約や業務委託契約を結んでいても、実態が労働者派遣に該当すると、偽装請負になります。請負は、業務を独立して処理し、雇用と使用が一致しています。派遣は、雇用と使用が分離し、3者間の関係に立ちます。派遣は、相手先企業の指揮命令を受けますが、請負はそういうことがありません。つまり、指揮命令の有無がポイントです。


◆偽装請負の背景と問題点

  企業を偽装請負に走らせる背景もしくは誘因は何でしょう。物の製造業務の派遣は3年前に解禁となりました。ただ、派遣可能期間が「1年」であるため、臨時的なものでなく恒常的製造業務については、請負契約とせざるを得ないという事情があります(ただし、今年3月1日以降は、「3年」まで受入可能となる)。
  そして、人材ビジネス業者と発注者側の思惑。人材ビジネス業者は、顧客にできるだけ面倒や負担をかけさせないアウトソーシング形態を“商品”にしたいと考えます。発注者側も、煩瑣な事務手続はもちろん、1年経過すると発生する派遣社員の直接雇用義務や使用者責任をできれば回避したい。つまり、法規制を受けない請負や業務委託で業務を処理したいという両者の思惑が一致するのです。
  そこには、次のような問題点が内在しています。請負は、基本的な事業法も監督官庁も無く、業者の許可、届出も不要。事業者が偽装請負を行うことは、労働者派遣法や職業安定法の適用を免れる脱法行為となります。
  また、労働者派遣法は、派遣元と派遣先に対し、労働基準法および労働安全衛生法上の使用者責任を課しています。偽装請負は実態が伴っていないため責任の所在が不明確となり、労働者の保護に欠けるのです。さらに、受入企業の管理責任のあいまいさは、労災事故を招く要因になりかねません。


◆偽装請負の法的効果と適正化対策

  形式的には請負契約や業務委託契約がなされていても、請負人が自ら労働者を指揮監督せずに、注文者が指揮命令を行い、雇用と使用が実質的に分離している偽装請負の法的効果はどうなるのでしょうか。
  これらは請負とは認められず、派遣と判断され、労働者派遣法の規制を受けることになります。業者は、無許可で派遣事業を行ったことになり、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処せられます(労働者派遣法59条2号)。また、労働者供給事業の違反となり、請負人側も注文者側も処罰されます(職業安定法64条9号)。
  事故発生時には、実態に応じた責任が問われます。注文者企業には、労働者が「特別な社会的接触の関係」に入ったもので、「信義則上」労働者に対する安全配慮義務が認められ、民法上の損害賠償責任を追及されます(三菱難聴事件 最判平3.4.11)。
  したがって、契約書類等の法律上の要件が整っていれば足りるというわけではなく、実態上も適法な請負と認められるものでなければなりません。重要なことは、注文者企業が労働者を指揮命令して直接利用しないこと、請負事業主は労務管理上および事業経営上、自己の業務として独立して処理することです。労働者派遣と請負の違いを明白にするため、区分に関する基準(昭61.4.17労働省告示37号)と詳細な基準である「業務取扱要領」が定められています。

ページトップ